ドライブ&ツーリングのネタ帳

www.henari1.jp ORRの道路調査報告書 ODA ROAD RESEARCH

〜道路格闘家へなりと闘う鉄馬ヘナリワンの軌跡〜

トップ 国道 県道 里道 林道 旧道 酷道 廃道 隧道 更新履歴 ボンバス 地図 アマゾン 歴史の道 掲示板 サイトナビ お問い合わせ

トップ>隧道電撃ネットワーク>北東北>青森>第5号洞門の実走調査レポート

第11号洞門(国道339号線龍飛崎)

★★

第11号洞門1byORR

◆三厩側から洞門の存在を窺い知る事はできない

ほとんどの箇所が海岸線すれすれを行く国道339号線は、今や大型車の相互通行を実現する二車線の快走路へとすっかり姿形を変えているが、その昔は見通しの利かぬとんでもなく狭い道が、海岸線の村々を細々と辿り繋ぎ、辛うじて道が通じているという窮状にあった。その時分の残骸が今も沿道に散見され、往年の様子を垣間見る事ができる。

海岸線を直線的に結ぶ現在の国道は大半が埋め立てによる新造であり、テトラと防波堤による強固な護岸の直線路を見る限り、その陰に旧道の存在を強く意識せざるを得ない。

第11号洞門2byORR

◆民家の裏手に隠れる三厩側坑門

現国道の左手には高さ15mほどの垂直壁が立ちあがり、かつては波打ち際をカーテン状で支配し通行者を脅かした大障害が、何事も無かったかのようなすまし顔を装っている。

その昔の人々は海岸に突き出た襞ひとつひとつを丁寧になぞり、この岩塊ひとつとっても波の引き際を狙い素早く駆け抜けるといった原始的且つ懸命の綱渡りを余儀なくされた事は想像に難くない。

現在その脅威はほとんどが取り除かれ小春日和の様相を呈すも、酷道時代の生々しい爪痕が沿道に顔を覗かせる。

第11号洞門3byORR

◆民家の裏手には旧道全体がそのまま現存

防空壕より遥かに大きく、道路隧道としては少々足りないこの洞穴の存在は、既知でない限り三厩側から気付く事はまずない。何故ならば三厩側の坑口際に民家がドーンと構え、洞門の存在を完全に包み隠しているからだ。

前後に延びるアスファルトがかつてそこが道路であった証左で、民家の裏側を走る舗装路がそっくりそのまま残っている事から、往年の線形がどのようなラインを描いていたのかは大凡の察しが付く。

第11号洞門4byORR

◆二次利用されずに封鎖された洞門

アスファルトが引っ剥がされ旧道跡が宅地の一部と化していれば、民家の裏側が私有地との見方もできるが、家屋の背後には舗装路が往時のまま横たわっており、旧道全体が完全に払い下げられたのか否かは現状では判断が付かない。

土地売却の際に主が駐車場等で利用する為現状維持を望んだともとれるし、海岸道路が致命傷を負った場合の迂回路として即使用できるよう、埋め立てにより発生した余白部分のみを売却し、旧道そのものは行政が管理している可能性もある。

第11号洞門5byORR

◆銘板

いずれにしても全方位から隧道を拝むという事は、住民目線からすれば宅地の裏手で不審な動きをする事に変わりはなく、一声掛ける事で無用なトラブルは回避できる。ここ第11号洞門もまさにそうで、単刀直入に洞門探訪を切り出すと、二つ返事で了承が得られた。

裏口の正面に立つと想像以上に隧道の径がある。洞内は高さが4m、幅員が3m強で、大型車一台を確実に通す規格にあるが、この先に竜飛漁港が控えている事実を踏まえれば、その昔から鮮魚を積載する大型トラックが頻繁に行き来していたであろうから、ドライバーは相当神経を擦り減らされたのではないだろうか。

第11号洞門6byORR

◆龍飛側坑門

距離にして20m足らずの短隧道ではあるが、前後が折れ曲がり見通しの利かぬこの洞門では常に対向車を意識せねばならず、その心労たるや並々ならぬものがあったはずだ。

昭和33年には三厩駅と竜飛灯台とを結ぶバス路線が開設し、第11号洞門が昭和中期の段階で既に現状に近い形を成していた事を裏付ける。

現在の海岸道路が完成するまで、この狭き洞門が増大一途の交通を一手に引き受けていた訳だが、内壁の表面に浮き出た模様が妖怪染みた不気味な短隧道が、国道トンネルとして一線を張っていたかと思うとそのギャップが堪らない。

第11号洞門7byORR

◆龍飛側は現国道と旧国道が直感的に把握できる

ボンネットバス全盛の時代は恐らく凹凸の激しい岩盤剥き出しの内壁であったと想像されるが、後年はファンデーションが施され随分大人しくはなったようだ。しかし今では一部に綻びが見え下地の表層が大きく露出し、海風に直接晒される第11号洞門の更なる風化は免れそうにない。

防波堤も兼ねた強固な護岸を形成する現在の国道は、道路脇に隠れる第11号洞門との関連性を限りなく希薄なものとしているが、見る人が見ればそれが国道の旧隧道である事を直感的に理解でき、またかつての線形がどのようなものであったかが容易に想像されるであろう。

http://m2t.jp/img/tweet_icon04.gif

 第11号洞門のプロローグ

 第11号洞門の旧版報告書

 

トップ 国道 県道 里道 林道 旧道 酷道 廃道 隧道 更新履歴 ボンバス 地図 アマゾン 歴史の道 掲示板 サイトナビ お問い合わせ