ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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第2号洞門

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第2号洞門の取扱説明書

今や観光名所と化した階段国道の存在に因り全国にその名を轟かせる国道339号線。津軽半島を周回する国道の日本海側を担当し、龍泊ラインを含め昭和後期まで車両を近づけさせなかった難路線も観光路線として定着して久しいが、自衛隊に開削を要請した龍泊ラインと甲乙付け難い難所が竜飛三厩間の一部区間に見られ、そこには今も生々しい先人達の苦労の跡が垣間見られる。十指に余る隧道をぶち抜き、津軽半島の最北端に私財を投じて車道を切り拓いた意義は大きく、開削から半世紀近くを経た昭和50年に国道指定という形で実を結んだ海岸道路。その傍らにモータリゼーションの発達と急激な車両の進化により時代遅れの産物との烙印を押された第2号洞門がある。その現状をご覧頂こう。

 

旧版第2号洞門1byORR

道路情報専門サイトORRの道路調査報告書

地図を御覧頂ければ一目瞭然なのだが、津軽半島を周回する二つの国道にはほとんどと言っていいほどトンネルが見当たらない。函館へと海を渡る国道280号線の通過点にして国道339号線の起点を兼ねる小さな漁港三厩。平成10年に東日本フェリーが三厩と津軽海峡を挟んだ北海道の福島町をワンシーズンのみ連絡し

旧版第2号洞門2byORR

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津軽半島に国道フェリーを就航させたものの業績が振るわず休航となり、今は何事も無かったかのようにひっそりと静まり返っている。三厩港を発って以後も国道339号線沿いにはいくつもの小さな漁港と鄙びた漁村が点在し、ここ第2号洞門もそんな小規模漁港の一角に口を開けている。歩道も完備する鐇泊トンネルが

旧版第2号洞門3byORR

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一線で活躍するその真隣に先代は今も口を開け、車両の通行を辛うじて許す状態にあった。新トンネルが突かれた事で第11号洞門と同じく、往年の状態を維持したまま第2号洞門は今日まで生きながらえた。内壁にライナーを巻かれ他の箇所と合わせ幾度かの改修を経た跡が見られるが、竣工当時の面影はよく留めている。

旧版第2号洞門4byORR

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これまでに見た洞門と異なり第2号洞門にはアーチ環らしき装飾が施されており、海岸道路の隧道群が機能一辺倒ではなかった事が判明する。尤も一般的な装飾はほとんど身に纏っていないのだが、ここも例外ではなくあの銘板が添えられている。これが無ければ鐇泊隧道と処理してしまう所であった。隧道名だけを拾い

旧版第2号洞門5byORR

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上げれば何の関わりも無いように思える両者であるが、同じDNAを持つ親子関係にある事は明らかで、第5号洞門のような抜本的な改修を免れた状態で現存する価値は大で、先人達の苦労話を語り継ぐだけでなく、汗の結晶を後世に残す意義は計り知れない。ライナーを巻かれた箇所を過ぎれば凹凸の激しい歪な壁面が

旧版第2号洞門6byORR

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洞内を支配し、往年のキモさは健在であるが、薄化粧を施される前はもっと凄まじい様相を呈していた事は想像に難くない。ただでさえクソ狭い洞内であるが、漁船に関係する備品が両脇に山積みされ、幅員は軽自動車一台分まで狭められている。すっかり漁業関係者に占拠されてしまった形であるが、それでも二次利用され

旧版第2号洞門7byORR

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今後も継続的に使用されると考えれば、それはそれで幸せなのかも知れない。鐇泊トンネルの銘板が2001年の春まで先代が一線で活躍していたと語る。路線バス一台の通り抜けがやっとで、歩行者とのすれ違いもままならない第2号洞門。新トンネルの開通により今では深刻なボトルネックもすっかり解消している。

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