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www.henari1.jp ORRの道路調査報告書 ODA ROAD RESEARCH

〜道路格闘家へなりと闘う鉄馬ヘナリワンの軌跡〜

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トップ>隧道電撃ネットワーク>北東北>青森>第12号洞門の実走調査レポート

第12号洞門(国道339号線龍飛崎)

★★

第12号洞門1byORR

◆海岸線沿いにぽっかりと開く洞穴

二車線の快走路が海岸線をほぼ直線的に貫く現国道に寄り添う形で、3mほどの距離を隔て、幅員4m弱の少々傷んだ舗装路が並走し、眼前を遮る岩塊を刳り貫いた小さな穴へと滑り込んでいる。

みる人がみれば、アスファルトによる導線とのセットで、一目で旧道のそれと分かる道路際に穿たれた至極明確な穴蔵であるが、遠目からはやや大きめの防空壕や保管庫の類に見えなくもない。

対向の明りは確認できず、入口より洞内は左斜めへ折れ曲がっている事が分かる。

第12号洞門2byORR

◆装飾の無い坑門

坑門に接近すると、次第に対向の明りが漏れ届き、左斜め30度ほどの角度で、岩塊をほぼ直線に穿つ短隧道がその素顔を見せる。

当路線に連なる隧道群に倣い、この洞門も装飾を持たない極めてシンプルな坑門で、丸みを帯びず水平に近い天井と縦長の構造とが、血を分けた兄弟の一員である事を物語る。

導線となる傷みの激しいアスファルトを介し、この洞門は人家にして約二、三軒分の距離を置き、第11号洞門と対峙する。

第12号洞門3byORR

◆天井はほぼ水平の縦長隧道

海を埋め立てた現道が完成するまでは、第11号洞門とこの洞門の間は海岸線すれすれを通過し、時折打ち上がる波飛沫をもろに被っていたであろうこの道が、一時代前の主役所謂旧国道である事はいうまでもない。

残念ながらこの洞門には銘板が無い。ただ洞門番号は三厩側ほど若く、第11号洞門より竜飛崎側に位置するこの洞門は、隣接する前者とたった数十メートルの至近距離にあり、序列からして第12号洞門であると考えるのが自然だ。

第12号洞門4byORR

◆内部は倉庫代わりに再利用

階段国道の代替ルートとして、津軽半島周回国道の不通区間を補う県道281号三厩停車場竜飛崎線。その県道が断崖上から急降下し、海岸線へぶつかる交差部より竜飛漁港までの間には、現在トンネルはひとつも存在しない。

海上を埋め立て新造した見通しの利く二車線路は、この界隈の状況を一変させてしまったが、その傍らにはドライバーの苦悩を代弁する過去の遺物が複数体散見される。それらは雄弁に語る、かつてここに複数の洞門が存在したのだと。

ここ第12号洞門を最後に隧道は完全に消息を絶つ。つまりこの洞門がしんがりという訳だ。

第12号洞門5byORR

◆顔らしい顔の無い龍飛側

実際に銘板で確認できた数字は11、その次に待つ洞門が12番目と考えられる事から、海岸道路に穿たれた洞門は、全部で12箇所あったと結論付けられる。

しかし洞門を潜った先には意外なものが待ち受けていた。それは現道の平凡な壁面に飾れた第13号洞門の銘板である。

それは失われた洞門の墓標であると同時に、竜飛崎に見る洞門群が12箇所では収まらない事実を吐露していた。いったいこの地に幾つの穴を開けた?その悲痛な叫びに対し、主を失って久しい第10号洞門の銘板が応えてくれた。

第12号洞門6byORR

◆人家の裏手を通る旧国道

その昔、この道は山道を通り、岩から岩へ波の合間を縫って飛び、岸壁をよじ登りまた、岩門に穴を開けその穴にヒバ丸棒を差し込みその上に板を乗せてと危険を冒しての通行、それが昭和のはじめまで龍飛崎の路であった。当時(大正末期〜昭和初期)宇鉄漁業組合長であった牧野逸蔵氏はそのころ盛んに行っていたアワビ採取事業によって得た莫大な益金で大正12年にこの道路の開削に着手し、昭和4年9月に完成したのがこのアワビ道路でその時にできた洞門が「13の洞門」ですが、現在は「親子洞門」をはじめ8つの洞門より残っておりません。

第12号洞門7byORR

◆第13号洞門跡から望む12号&11号の連洞

アワビ道路

第10号洞門は跡形もなく消失しているが、そこに残された位牌には、洞門の出生に関する赤裸々な史実が綴られていた。

漁業長の潤沢な資金を元手に、昭和の初めに完成したというアワビ道路。そこに穿たれた洞門の数は全部で13、そのうち5つが消滅しているという。この情報を元に今一度沿道を精査し、昭和新道並びにそれ以前の路を追求する。

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 第12号洞門のプロローグ

 第12号洞門の旧版報告書

 

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