ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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岩井寺隧道

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岩井寺隧道の取扱説明書

当路線に眠るお宝レンガ隧道三部作の最終章を飾るのは延長距離、保存状態、細部のディテールと、そのどれを取っても三兄弟の長男格と言えるのが岩井寺隧道だ。隧道の保全に熱心な静岡県だけあって、三兄弟全てが現在も現役で活躍している事は大変喜ばしい事で、他の県も遺産としての価値を認め、保存を前提とした二次利用再利用の検討を即急に行うベッキーである。そこに新たな旅の目的を見出せ、現存するレンガ隧道の希少性から付加価値も生まれ、観光資源にも成り得るという事を今こそ認識すベッキーである。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

何だか異様に広い田舎道だな〜。右手に田んぼ、左手に茶畑という素朴な風景に似つかわしくない、広域農道のような2車線強の道路。これが旧道であるとは俄かに信じ難かった。中央に白線を引けば、そのまんま県道として使える広さを有しているにもかかわらず、何故か車の通りは全く無い。それもそのはず、全ての車両は茶畑を挟んだ向い側の切り通しを快走しているのである。

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現道との分岐点は他の県道とクロスしている事から、当時と違って現在の状況は大きく様変わりしているようだ。但しかつての県道跡地は私有地として使用されているも、その名残をよく留めていて、それは市販の地図上でも示されていて、戸惑うような事はなかったが、幅員の広さには少々面喰った。

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このままでも良かったのではないかと思ったのも最初だけで、雑木林の小高い山が迫ってきた所で、急激に幅員は減少し緩いカーブには、すっかり疲れきった高さ制限標識が現れ、その先の狭く薄暗い竹薮の中に、ターゲットは口をぽっかりと開けて待っていた。昼尚薄気味悪い隧道周辺はすっかり手入れされる事も無くなったようで、通行に支障のない部分は荒れ放題となっていて、上から覆い被さるような竹林と両脇から侵食する雑草の群れが、ただでさえ狭い県道を更に狭めていた。

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こんな薄気味悪い所をわざわざ通る人などいるのだろうか?車両に注意しながら切り通しの現道を通った方がまだマシなのではないか?なんて思っていたらチャリ通の学生諸君がしゃーしゃーと通り過ぎて行くではないか。やはり慣れというのは恐ろしいもので、毎日通っていればパッと見凄みのある隧道も見慣れてしまい何とも思わないのかも知れない。

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流石に夜間ともなればちょっとはチビるだろうが、そこは歩道に転用しただけあって、24時間照明が点灯しており、安心して通れるように配慮されている。但し岩井寺隧道は完全な歩道ではなく、車両の通行も許している。とは言っても道中に人家のひとつも無い旧道を、好んで通る車などまずいない。見ての通り坑門を始め内壁の全てに至るまでオールレンガ巻きで、ライナーが巻かれるとかコンクリで補修されるとか、一切の加工処理が施されてはいない、純粋なレンガ隧道である。

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坑門は上から笠石、扁額、帯石、リングアーチと標準装備は全て満たしており、門柱が無い事でやや大人しい感じはするが、落ち着いているその姿に誰もが魅了されるだろう。この岩井寺隧道を持って、当路線に残るお宝隧道の調査は全て完了したが、檜坂隧道青田隧道はそれぞれ一長一短がありディテール、保存状態、延長距離とどれを取っても岩井寺隧道が一歩抜けている。

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三物件とも形状に大きな相違は見られず、竣工年もほぼ同時期と思われ、設計施工など工事に携わったのも、ほぼ同じ業者なのではないだろうか。恐らく3本とも世紀を跨いで今後も活躍する隧道群に、施工に携わった関係者は自信を持って子や孫にこう言えるだろう。あれはわしが造ったんじゃと。

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