ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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三浦隧道(3)

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三浦隧道の取扱説明書

お宝隧道オンパレード地区に残されるレンガ隧道は、歩道への転用や町道格下げなど何等かの形で再利用されるケースが多い。ただ一部の隧道は封鎖や放置されたままなのも事実。ここ三浦隧道は封鎖ではなく放置である。従って今後世間の道路遺構に対する意識が変われば、行政が動きだし整備に着手して保存される可能性は大いに有り得る。今は現道からその姿を一瞬だけしか捉える事が出来ず、パッと見の印象としては超キモイ穴としか映らない。私的にはキモイままで良いと思うが、下手に封鎖されるくらいなら再整備された方が幾分マシかも知れない。

 

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その多くが再利用されるお宝隧道群発地帯にあって何故三浦隧道は放置されてしまったのか不思議であったが、その謎がこの後次々と解き明かされる事となる。一見扁額に注目してしまうこの画像であるが、最も注意して見て欲しいのはレンガの部分である。赤茶けた色のレンガに不釣合いなほどの白い模様がはっきりと浮き出ている。

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これはスプレーなどの悪戯などではなく白化と呼ばれる現象である事を愛媛のドンから教わった。何でもキテマス!というサインらしい。それまでも旧廃隧道ではこのような現象を頻繁に目にしてはいたが、特に気にする事もなく通り過ぎていた。知らぬが仏とはこの事で、一度どのようなものなのかを知ってしまうと、これまで以上に潜入には二の足を踏んでしまう。

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もし今この瞬間に崩れてきたらと思うと、その場でのん気に撮影など続行する気にもなれず、さっさと撤収して先を急ぎたくなるってもんだ。こんな寂しい場所で生き埋めになんかなりたくないからね。白化現象もそうだけど、坑門前の土砂崩れも結構な量で、本来の路面など全く見えておらず、路面全体を覆い尽くした土砂が、盛り上がる形で坑門前が全体的に嵩上げされてしまっている。

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おかげでズーム機能のない我がデジカメでもジャンピングショットをぶっこく必要もなく、難なく扁額を捉える事が出来た。白化現象は坑門に近い位置にのみ確認され、一歩内部へと踏み込めばそこにはみずみずしいまでの赤茶けた、我々が想像するレンガ本来の姿が浮かび上がってきた。だがそれも束の間の幸せに過ぎなかった。なんとレンガ巻きは坑門から僅か数m足らずで見事に寸断していて、その先には当路線では珍しいめくるめく妖艶なテボッチャーの世界が展開していた。

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当路線で歩道への転用を含む現在第二の人生を歩む仲間達は皆総レンガ巻きか、表層にコンクリを噴き付けられている。石材店の裏道から何か嫌な予感はしていたのだが、なんと坑内の路面はダートのままなのだ。ほとんどが改修されてしまっている中で、三浦隧道は往年の姿をそのまま維持し今日に至っていたのだ。当時の隧道は路面がダートだった。

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これは結構衝撃的である。コンクリが打たれたり、アスファルト舗装されたりして、今風にアレンジされてしまった隧道群からは正直当時の様子はなかなかうまく伝わって来なかったし、あくまで想像でしかなかったが、三浦隧道は当時のままその全てを見事に封じ込め、現代へと伝え届けたのだ。最初に僕は何故三浦隧道を改修して再利用しなかったのだろうと疑問を抱いたが、今となっては全く違った考えになっている。

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よくぞこのままにしてくれたと。今にも闇の向こうからボンネットバスが凹凸の激しい路面に足を取られ、車体を大きく揺らしながら走ってくるのではないかとリアルに想像できる世界が、ここにはしっかりと息づいていたのである。

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