ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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尾鷲隧道(4)

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尾鷲隧道の取扱説明書

お宝隧道量産ラインの中に薮を掻き分けずとも、走行中にチラっと確認できてしまうお手軽物件がいくつか存在する。その中でもオーラが出まくって恐れ多くて般ピーではとても近寄り難い隧道がある。その双璧を成すのが先に紹介した三浦隧道とこの尾鷲隧道である。中でも尾鷲隧道は今瀕死の状態にある。近い将来確実に通り抜けが不可能となる運命にあるのだ。それは早ければ来年かも知れない。どうにか持ち堪えて欲しいのだがその運命やいかに。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

完全逝かれている。路面は中央の1/3程度を残し、両側が見事に陥没していたのである。本来はその両脇をカバーしていたであろうガードレールも完全にひん曲がっていて、路盤からごっそり逝っちゃっているのが分かる。こうなると四輪はお手上げである。ミゼットでさえも脱輪しかねぬ幅員で、もはや尾鷲隧道を通り抜け可能なのは、単車以下の車両に限定される。

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勿論この状態は取材当日のものであり、それから月日が流れた現在、現場の様子からその後いったいどのように変化しているのかは、全く想像も付かない。但し気になったのが、最初に見た通行止を知らせる看板だ。丑の谷橋が危険な状態である事を知らせる看板は昨日今日に設置されたものではなく、もう何年も前に設置されたもののように見える。

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つまりこの陥没は今に始まった事ではなく、もう随分前からじわじわと崩れ始めていたのではないだろうか。丑の谷橋を渡り対岸の斜面へと取り付いた旧道は、山肌に沿って充分な幅員の路面を確保しながら、右へと大きく曲がり始める。そこまで先回りすると、橋梁及び旧尾鷲隧道を含む旧国道全体の様子が一目瞭然であった。底の見えない深い谷に向かって延びる頼りない径の三本足の橋脚。

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あんなんが主要国道を支えていたのかと思うとゾッとする。手前から見た時は単に路面の両側が陥没していると思った程度であったが、実はそんな生易しい崩壊では無かった。当初アスファルトの下の土砂が流出しただけと思われた路盤は、なんとコンクリート製の土台が、パックリと割れてしまっているのだ。本来なら対岸でその全てを引き受けねばならぬ土台が逝っているという現実を目の当たりにし、我々は声を失った。

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丑の谷橋はこのまま順調に逝けば、近い将来何故そこに橋が架かっているのかという非常に不自然な光景で、訪れた者を震撼させるはずだ。頼りなくも橋脚がある事から、橋梁自体は恐らく今後もそこにあり続けるだろう。しかし対岸へは決して渡してはくれないのだ。将来的は5m程の空間がそこに出現する事になろう。土台がごっそりと消失し、そこは完全に寸断された本当の行き止まりとなる。

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そうなると今以上に頑丈なゲートが出現し、例えゲートを乗り越え丑の谷橋まで近づけたとしても、落ちたら二度と生きては這い上がれないであろう深い谷底を見て、ジャンプしてまで渡ろうなどという気も起きますまい。土台から切り離された丑の谷橋は頼りない橋脚のみで自身を支えねばならず、そうなると橋梁自体の存続も危ぶまれ、かつてそこに橋が架かっていた事も過去の話となってしまうだろう。

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しかし何故行政はこれを放置しているのだろか?現道の尾鷲トンネルは歩道を完備していないのだ。旧隧道を歩道に転用する例が多い当路線において何故旧尾鷲隧道は歩道として再利用されなかったのだろう。路面は遂にダートと化した。

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