ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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相賀隧道(2)

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相賀隧道の取扱説明書

これまで次々とお宝隧道を掘り起こしてきた当路線もいよいよ大詰めを迎える。町道に格下げされ今でも車道として生き残った物、歩道として第二の人生を歩む物、放置されて日々その凄みを増して行く物、それぞれどの物件にも味があり、そこには人生の縮図に似た隧道ドラマがあった。相賀隧道は今の今まで再利用される事は無かったが、この物件が歴史の証人として、今後もそこにあり続ける事を、願わずにはいられない。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

現在では使い物にならないと烙印を押され、真っ当な第二の人生を歩む事なく放置された隧道がある。それがここ相賀隧道だ。坑門の直前には立派な橋梁が架かり、山肌をひたすら削って道を付けていた当時としては、橋梁と隧道を繋いで短縮化を図る事は、画期的なだけでなく、ある意味技術屋達の挑戦でもあった。下手すると大型車同士の離合も許してしまいそうな幅広の立派な橋梁。

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幅は短くも底の深い谷を挟んだ対岸へと渡れば、すぐに隧道が口を開けて待っている。そこには橋梁の規格とはまるで異なる大型車1台を通すのがやっとの小さな小さな隧道が口を開けているのだ。このアンバランスはどうしたもんだろうか?現代ならば設計段階で却下だ。2車線の橋の先には2車線の隧道が無ければスムースな通行が出来ない。なのにここは内部離合が不能な狭いトンネルである。

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しかも向こう側の明かりが見えない。長大隧道かそれとも閉経隧道か?相賀隧道は坑門のほぼ全てが覆い被さる木々によって、はっきりとその全容を捉える事ができない。表層は一見コンクリのように見えるが、近づいてみるとそれがレンガである事が判明した。橋梁上もそうだが、隧道内の路面はダートのままで、当路線における旧廃隧道群の中でも路面がダートのままである。

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それは極めて稀な事であり、相賀隧道は当時の様子を余す事なく今に伝える、大変貴重な隧道である事が分かった。我々は内部へ向けて恐る恐る砂利道を踏み締め、慎重に歩を進めた。すると洞内へ入るまでもなく、坑門右よりから対向の明かりが見えた。相賀隧道はなんと内部でカーブを描いていたのだ。カーブするレンガ隧道?橋梁と隧道が連続するだけでも驚けるのに、隧道内でカーブを描いていたとは二度びっくりである。

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しかも振り返ってみてはっきりと分かったのは相賀隧道のアーチが歪な形状をしている事だ。当路線におけるどの旧廃隧道もアーチは、逆U字型をした滑らかなラインを描いている。それに対して相賀隧道だけがかまぼこ型の歪な形状をしているのだ。これはいったいどういう事なのだろうか?かまぼこ型である以上、逆U字型よりはご覧の通り幅員に余裕がある。

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下手すると普通車2台がすっぽり収まってしまうかも知れない幅がある。これは2車線の橋梁から極端に狭い隧道へと急激に幅員が狭まる事に配慮して、坑門を多少広げる事で勘弁してもらおうという算段か。それとも本気で隧道内部も2車線化を図ろうとした表れなのか?それともロングボディの車両が内部で引っ掛からないように配慮したものなのだろうか?

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どうやら正解はロングボディ配慮説のようだ。何故ならば相賀隧道は直線を向くと、従来通り内部は完全1車線と化したからだ。ほんの一瞬だけ隧道内はあわや2車線か?と夢を見せてくれたのも束の間、相賀マジックはすぐに途切れ、我々を現実へと引き戻した。

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