ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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相賀隧道(4)

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相賀隧道の取扱説明書

これまで次々とお宝隧道を掘り起こしてきた当路線もいよいよ大詰めを迎える。町道に格下げされ今でも車道として生き残った物、歩道として第二の人生を歩む物、放置されて日々その凄みを増して行く物、それぞれどの物件にも味があり、そこには人生の縮図に似た隧道ドラマがあった。相賀隧道は今の今まで再利用される事は無かったが、この物件が歴史の証人として、今後もそこにあり続ける事を、願わずにはいられない。

 

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

一部未舗装林道を走る送迎バスや、一般車両通行禁止である南アルプス林道の北沢峠を越えるバスなど、全国でも僅かではあるが、砂利道を走るバスは存在する。が中でも宇登呂−知床大橋間を行く斜里バスはロングダートを爆走する生粋の路線バスである。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

大峠を万世大路を矢ノ川峠を越して行った当時のバスとはいかなるものだったのかを肌で知る手立てとして、斜里バスは大変貴重な存在である。砂利道を爆走するバスに乗車した時の感覚を思い出しながら相賀隧道と重ねてみる。そうすると当時の様子が何となくではあるが、浮かび上がってくるのである。

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今でこそ荒れ果てた路面も現役当時は現在の未舗装林道と何等変わらない走り易いダートだったに違いない。坑門を抜けると路肩が一部崩壊し、そこに鉄板が敷かれていた。現在でもここを何者かが利用している証だ。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

但し隧道手前の橋梁が崩れるのではないかと丑の谷橋の悪夢が頭を過ぎる。それに内壁は赤茶けているはずのレンガが、真っ白になっている箇所も多く見られ、橋梁よりも隧道の方が先にポシャるのではないかという心配もある。振り向けばこちら側の坑門は、従来通りの逆U字型をしていた。

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やはり内部が曲がっている事を考慮して膨らみを持たせたのではないだろうか。坑門は強固な岩盤と山肌の急斜面に挟まれ、いかにも片身が狭そうな状態で、それらとの隙間をあてがう程度の装飾を施されていた。それでも威風堂々とした立派なレンガ積みである。

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旧道の起点から終点まで完全なダートで橋梁から隧道に至るその全てが往年のままの姿で残された相賀隧道は、当路線で唯一人の手が加えられておらず、旧道の現役時代を知る上で、大変貴重な現物資料であり、当区間をまんま交通博物館にしてもおかしくはない。当時の職人さん達は大変いい仕事をしていた。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

ひとつひとつ丁寧に積み上げられたレンガに人は心を動かされる。何故ならば気の遠くなるような単純作業の末に、日の目を見たレンガ隧道は、単なる道路の一部ではなく、大事業に携わった当時の人々の血と汗と涙の結晶だからだ。

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