ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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高尾隧道(1)

★★★

 

高尾隧道の取扱説明書

旅人なら誰もが持ち歩き、ORRでも教科書として推奨している某地図は、これまで版を重ねるたびに改良が成され使い勝手も向上、それはツーリングライダーのみならず、四輪のドライバーやチャリダーにも支持され、確実に進化を遂げてきた。現行よりも一回り小さい初代の版で高尾隧道はこう記されている。「シャワー状に降る漏水、中央に排水溝、西日本一の不気味隧道」残念ながら現在手元に残るものには「西日本一の不気味隧道」の部分が印字されておらず、あくまで聞き伝えなのだが、西日本一と謳うからにはそれなりの物件なのだろう。だが目の肥えたORR読者に果たして西日本一の謳い文句が通用するかどうか。それでは問題の高尾隧道をご覧頂こう。

 

高尾隧道・高尾トンネル1

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

超近代的な設備を整えた新高尾トンネル坑門前から派生する僅かに残された広見川林道。かつての断崖路はそのままに、慎重に歩を進めてくる事およそ5分、問題の広場に達した。突如現れる広大な面積を誇る更地。普通車ならば30台ほどは楽に収容できるほどの広さを有し、しかも実に開放的である。水は無いが大人数でのキャンプも可能なその敷地は、今も昔も変わらぬ状態で

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そこにあった。前方に目を向ければ尾根筋まで一直線に駆け上る斜面の、ほぼ全ての木々が伐採済みで、反対側の斜面も同じ様であれば、稜線付近だけ枝木を残し、上空から見たらモヒカン刈り状態に違いない。地上から見る限りハゲ山に等しいこの山塊のどこかに高尾隧道があるはずなのだが、どこにあるのか分かるだろうか?そこには単なるのっぺらぼうと化した斜面しか

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見えない。はて、埋められてしまったか?10年以上前にたった一度通過しただけで、僕の記憶も曖昧なのだが、隧道以上にこの広場だけは強く印象に残っている。ここに初代高尾隧道がある事は間違いないのだが。僕は単車を置き去りにして一歩ずつ斜面へと近づく。そうしてアングルをずらすと、見えて来ましたよ奥さん!何やら妖しいフェンスがあるじゃあ〜りませんか。あれがこの

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巨大な山塊に風穴を開けた高尾隧道なのだろうか?もうそれしか考えられないのだが、まだ僕の中で確信が持てなかった。スキーの上級者コースよりも厳しい斜面に開けられた防空壕のような小さな小さな穴。それを覆い隠すかのよに中途半端に伐採された木々が垂れ込み、何が何だか判然としない状態である。かろうじてフェンスが設置されている事で、ターゲットがそこにある事は

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分かるのだが、もし鉄製のフェンスが設置されていなかったら、広場で行き止まりかと思って引き返してもおかしくはないほど、それはひっそりと斜面の切れ込みに、隠れるようにして存在していた。見える範囲の斜面の木々は全て伐採済みで、もうこの場所で作業をする事は無いのであろう。もし次回があるとしても、これから植林する訳であるからして、それは半世紀以上も先の話に

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なろう。その頃はこの穴も土砂の下に埋まってここに穴が開いていたとは思えないようなただの斜面となっているのではないか。穴は塞がり地上には何故かフェンスの突端だけが突き出している。ある未来人はそれを見て、そこが旧隧道の坑口跡ではないかと察する。またある者は何故この斜面には意味不明な錆びた鉄が突き刺さっているのだろうと不思議に思うに違いない。そんな

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未来像が垣間見える高尾隧道坑門であるが、現在は大きな欠損もなく、今すぐどうこうという事は無さそうだ。肝心の坑門上部は垂れ込んだ枝木に邪魔され、盛夏の時期はその全容が把握し辛いが、坑門全体の約八割がコンクリで、上半部左右には石が用いられており、林道上で見る隧道にしては随分と手の込んだ構造となっている。

高尾隧道2進む

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