ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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臼津隧道(1)

★★★

 

臼津隧道の取扱説明書

県道217号臼杵津久見線の臼津峠は、隧道によって峰越えを果たしている。両市内を結ぶ主要路として初めて自動車を通したとされる臼津隧道。現在は県道に降格しているが、新臼津トンネルが開通するまで、長らくこの道筋が国道として供用されてきた、筋金入りの旧国道である。当然の事ながら臼津隧道は大断面を持ち、普通車同士の離合なら楽勝でこなしてしまう今日どこにでも見られる一般的なコンクリ隧道である。だがそこにはいい意味で期待を大きく裏切る開削当時の貴重な遺構が今でも残されていたのだ。

 

臼津隧道1-1/ORR

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道は生き物に近い。今日も日本のどこかで新しい道が続々と誕生し、今こうしているうちにも着々と建設が進められている道が星の数程存在し、また消えてゆく運命の道も沢山ある。トンネルが開通し峠越えのルートは旧道となり、利用価値の無い道はやがて廃道となる。この道もかつて国道であった道が新トンネル完成に伴い県道に降格した道だ。旧道となった後のポストによってその道の

臼津隧道1-2/ORR

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将来は大きく左右される。道のエリートとも言える国道でさえも、現役を退きその全てが天下れる訳ではない。利用価値が無ければ即廃道だ。道路の世界も厳しいのだ。そんな中この道は国道から県道に降格し、まんまと天下りに成功、第二の人生の保証も約束されたようなものだ。現役を退いた今は交通量も1時間に数台にまで減少したが道中には人家が全く無い事からこの峠道を

臼津隧道1-3/ORR

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通行する車両は当然少ない。この峠道はカーブが多く海に近い場所にしては山深く、人気は全くない。但し国道時代は半島を横断し臼杵、津久見の両市内を結ぶ重要な路線として地域に密着した路線で、それなりの活況があったに違いない。まだ裏を取ってはいないが、臼津峠に路線バスが運行していた可能性も充分有り得る。峠道の途中には、臼杵湾にぽっかりと浮かぶ津久見島を

臼津隧道1-4/ORR

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真正面に見渡せる絶好の場所に、人家が1軒だけ確認できるだけで、それは現在でも住まわれているようだが、他には全く廃屋らしき物件や、集落があったような跡地は見当たらない。従って臼津峠に路線バスが通っていたとしても、バス停は数えるほどしか無かったのではないだろうか。それも現在では新トンネル経由になっている。隧道名称で興味深いのは、並走するJRがトンネル名に

臼津隧道1-5/ORR

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津久見側の徳浦地区から拝借した徳浦トンネルと命名した事で、近年完成した高速道路のトンネルも津久見トンネルとされている。そこに両市内の力関係が見え隠れしているが、旧国道の臼津峠並びに臼津隧道だけは、しっかりとその名を分け合った所に、この峠道が両市にとっていかに悲願であった事かが、如実に現れている。のっぺりとした坑門に備え付けられた扁額には肉眼でも

臼津隧道1-6/ORR

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臼津の文字がはっきりと読み取れるのだ。その上には笠石もどき、その下にはアーチもどきと、若干装飾には気を配った感じはするが、そこに悲願達成の証はどこにも見られない。何故か?それは内壁を見て思った。内部は非常大人しい凹凸だが、完全なコンクリ巻きは一部のみで、半分以上がコンクリ噴き付けのテボッチャーであった。路面もアスファルトでは無く、コンクリが打ち込まれていて

臼津隧道1-7/ORR

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もうこれ見よがしのガチガチのコンクリ仕立てである。なんでこんな姿に?そのヒントが反対口のすぐ先にあった。そいつを発見しなければ、臼津隧道は味も素っ気もない単なるコンクリ隧道として、処理されるはずであった。しかし掘割の壁面に小さく開いた穴を見逃しはしなかった。

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