ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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佐敷隧道

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佐敷隧道の取扱説明書

佐敷太郎峠に突かれた佐敷隧道の立派な坑門を前にして佇んでいると往年の自動車がいつ飛び出して来ても不思議でない状況にLSDを打っていなくともタイムスリップしたかのような錯覚に陥る事は間違いない。お出掛けの際はORRの推奨する三太郎(キャベツ太郎、もろこし輪太郎、たまねぎさん太郎)を旅のお供に携行し、パクつきながら堪能すればより満足感を得る事ができる。但し300円以内に抑える事、おうちに帰るまでは旅の途中である事を肝に命じる事、以上解散!

 

佐敷隧道

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旧道を上ってくるとまもなく稜線に手が届きこのまま峠越えしてしまうのではないかという地点において突如巨大な建造物が現れ道が二手に分かれる。一方はまだ上昇を続けるも幅員は細くなり、これまで2車線幅を有していた旧道とは異なるようだ。もう一方を見るとぽっかりと口を開ける穴があった。それがターゲットの佐敷隧道である。佐敷太郎峠の主役を務める

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お宝隧道で、山の斜面に築かれた立派な坑門にしばし息を呑む。鞍部との距離はそれ程でもなく峰越えを果たせたような気もするが何等かの事情により結果的には隧道が突かれた訳だ。佐敷隧道は明治36年に開通し昭和40年佐敷トンネルにバトンタッチするまで随分と長い間一級国道のトンネルとして現役で活躍し、そして今でも通行可能である事は奇跡に近い。

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笠石、帯石、門柱、リングアーチに至るその全てがダミーではなく本物の石を配している。表層は全て細かいレンガの積み重ねで出来ており、最早これは芸術的作品以外の何者でもない。扁額が判読不能なのは残念だがパッと見目立った損傷は見当たらず非常に美しい外観は現在でも保たれているようであった。鉄道でこのような物件は当たり前のように存在するが

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こと道路となれば話は別でなかなかこのようなお宝物件はそう多くは存在しない。よって佐敷隧道が道路隧道ではいかに大物であるかが分かり、それは津奈木隧道と共に国の登録有形文化財に指定されている事からも明白だ。内部は総レンガ巻きであり、崩落の跡もほとんど見受けられず、丁寧な造り込みは当時既に日本の根幹を成す重要な路線という位置付けで

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大動脈の流れを止めてはならないという意識の現われではなかろうか。来るべき自動車時代を想定してか普通車同士の内部離合が可能な幅員が確保されているのも流石だが、これだけ立派な坑門となったのも一級国道で充分な予算が付き当時の技術力を余す事なく投じられた結果なのかも知れない。こちら側は坑門右側の風化が進んでいるが致命的な損傷ではないようだ。

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こちら側の風化が激しいのは海に近い事から塩害のせいではないかと推測できる。また日当たりが良過ぎる事もレンガが色褪せてしまっている一因なのではないだろうか。坑門上部は植物に覆われ、とても国家が認めた文化財という扱いを受けていないようにも見えるのは気のせいだろうか?現佐敷トンネルが昭和40年開通だから末期は主要国道としてかなりの

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交通量であった事は想像に難くない佐敷太郎峠。大型車にとっては隧道内部の離合が出来ない為条件は厳しかったと思われるがしっかりとした丁寧な造り込みはこの先何十年と持ち堪えるのは間違いないと思われる佐敷隧道は国の登録有形文化財に指定され今後も埋められる心配もなく後世に引き継がれる訳だがもう少し手厚い保護はされないのだろうか?

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