ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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佐敷太郎峠

★★★★

 

佐敷太郎峠の取扱説明書

日本の大動脈である主要1桁国道にかかる最大の難所である三太郎峠のひとつで赤松太郎峠と津奈木太郎峠と共に連続する峠を形成する。赤松太郎峠だけは峠越えとなっているが佐敷、津奈木共に隧道で突かれているが、それぞれ旧道も大変興味深い道程で旧道らしくない余裕ある幅員は流石天下の1桁国道と言え、一般道とは規格がまるで違う。また現道とは縁のない風光明媚な内海の景色は旧道だけの特権であり、峠の隧道は確かに目玉だが旧道そのものにも評価すべき点が多々あり、この旧道を走る価値は充分にある。

 

佐敷太郎峠

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

現国道から旧道に入りしばらくは2車線路が続くがこれは現在の町道で本線は直進している。旧道は花柄の可愛らしい壁の分岐で大きなヘアピンカーブを迎え、これをぐるりと回りこむとそこからが本格的な登坂が始まるのだ。旧道に入るとそれまで塗られていたセンターラインも消え失せ、気持ち幅員も狭まるが、そこは天下の1桁国道、なめたらあかん。

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幅員をご覧頂きたい、はっきり言って何故センターラインを引かないのかと思う程の幅員で普通車同士の離合は全く問題ないばかりか片方が大型車でもいける。大型車同士の離合は勿論逝けるが、これがつい最近まで使われていた道ならば驚くに値しないのだが、旧道化して約40年が経過している道が現代の交通事情ともそれほど大きなズレを生じさせていないという

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事実を目の当たりしては驚かない方が不思議だ。これでおにぎりなど、この道がかつて国道であった事を決定付ける物的証拠でもあれば尚良いが、三太郎峠のどれにも決定的な証拠は見つからなかった。赤松太郎峠津奈木太郎峠に挟まれるこの佐敷太郎峠は峰越えではなく隧道によって峠を越えている。三太郎峠で唯一峰越えを果たしているのが赤松太郎峠で、

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あとの二太郎は津奈木隧道佐敷隧道で峠を越えている。この道の前身は薩摩街道で赤松太郎峠では薩摩街道と峠で交差しているのが確認できるが、隧道を突く二太郎では残念ながら薩摩街道を確認する事は出来なかった。旧道をかなり上り詰め、稜線に手が届くのではないかと思った瞬間目の前に想像を遥かに超える好物件が現れた。それが佐敷太郎峠に突かれた

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佐敷隧道だ。峠からの景色は残念ながら望めない。また、駐車スペースや茶屋、自販機といった施設は皆無でレジャーとは無縁な、ただひたすら越えるだけの峠であったようだ。昭和40年には現道が開通し、明治後期以前は薩摩街道が主要道として機能しており、この旧道は明治後期から昭和中期にかけてのまさに激動の時代に主役を担っていた訳でレジャーとは

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無縁であった訳だ。突き詰めていけば物資輸送がメインの軍事道路という姿が浮かび上がり、それは津奈木、佐敷の両隧道の気合の入った構造にもよく現れている。高度経済成長期に入り、さあこれからだという矢先に印籠を渡された旧道にレジャーもくそもなくて当然だし、三太郎峠にそんなものは似合わない。戦争に始まり戦争に終った軍事道路の三太郎峠に

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平和を感じ取る事は出来ない。但し旧道からは大小の島々が浮かぶ内海らしい風光明媚な光景が眼下に広がり、それは一見の価値があり、この道がどのような遍歴を辿っているかなどとは関係なく、ツーリングやドライブというレジャーにおいて充分な満足感をもたらしてくれる。ただこの旧道が昔と今では使用目的が違ったという事実は押さえておいて損はないだろう。

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