ドライブ&ツーリングのネタ帳

www.henari1.jp ORRの道路調査報告書 ODA ROAD RESEARCH

〜ツーリングマップルで訪ねる万の峠と億の道〜

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トップ>酷道データバンク>甲信越>新潟>海老牛峠/県道427号五十子平真田線(かいろううしとうげ)の実走調査レポート

海老牛峠()

★★

海老牛峠2-1

◆海老牛峠2−1:整備された峠の海老牛池

断崖の比高はパッと見で100mといったところか。谷底から車道までが50mほどで、所々岩盤が剥き出しとなる60度近い急傾斜の絶壁にブレーキが利くような場所は無く、足を踏み外したが最後谷底まで直滑降だろう。

川伝いを行く県道の道中は離合箇所がほとんど無く、開けた谷間は一応遥か先まで見通しが利くものの、山肌を丁寧になぞり蛇行を繰り返すの路の半分は影に隠れて見えない。従って視界は当然不良だ。気が付けば対向車が目の前に居たなんて事も珍事ではないし、どちらかが延々とバックするのも日常業務であろう。

海老牛峠2-2

◆海老牛峠2−2:拡張された海老牛峠(標高400m)

県道427号線は普通車でも神経を擦り減らす難ルートで、地図にもある通り大型車の進入は間違ってもできないし、最狭部の幅員が3.5mでカーブが連続する断崖の狭路であるから、2トン車クラスや普通車でもロングボディだと相当な脅威を感じるはずだ。何せ滑落したら落命は必至なのだ。

またこの県道には最後の砦とも言えるガードレールがひとつも備わっていない。路肩にあるのは県道をアピールするデリネーターのみで、それは必要にして充分な数が備わるが、スリップした際多少の減速効果は得られるだろうが、デリネーターが吸収できる慣性力など高が知れている。

海老牛峠2-3

◆海老牛峠2−3:峠でセダンと擦れ違う

デリネーターの本来の目的は、通行車両の前照灯による光線を再起反射させ、ドライバーに道路の限界点を知らせると同時に、安全帯域へと誘導する事である。一度滑り出した巨大な鉄の塊を制御できるほどの能力は持ち合わせていない。

安心材料としてガードレールが欲しいところではあるが、予算の都合からか県道の断崖区間はデリネーターの設置に止まっている。等間隔で設置される無数のデリネーターは、夜間通行を意識してのものと思われるが、県道528号線との分岐以降人家のひとつも無い当路線を、日常的に行き来する車両など果たしてあるのだろうか?その時、対向から黒塗りのセダンがやってきた。

海老牛峠2-4

◆海老牛峠2−4:弧を描く峠は即下りへと転じる

おいおい、自動車通るんかここ?

僕が唖然茫然としたのも無理はない。何せこの県道には生活臭というものが全く感じられず、起点から終点まで対向車は無いものと思っていたのだ。事実ここまで一台の車両とも擦れ違っていないし、追い抜かれてもいない。勿論人っ子一人接触していないし、世間一般とは完全に隔絶された別世界なのだ。

時折吹き抜ける強風が鳴り止めば、そこはたちまち無の境地となる静寂に支配された人里離れた僻地の海老牛峠。まさかこのような場所でセダンと遭遇するとは思わなんだ。

海老牛峠2-5

◆海老牛峠2−5:見晴らしの良い開通記念碑

道路としては生気を失って久しく、ただ県道指定されているだけの有名無実に等しい路線は、無くても誰も困らないようなどうでもいい道で、実用的でない断崖の狭路にもし如何ともし難い決定的な災害が発生した場合、廃道化の公算が大だ。そんなズタボロ県道が6m幅へと膨張し、県道の肩書に恥じない規格へと一念発起するのが、当路線のサミットにして最大幅を誇り、且つ休憩場所並びに展望台を兼ねた海老牛峠だ。

海老牛峠(海抜400m)

海老牛峠2-6

◆海老牛峠2−6:林道海老東山線との分岐

県道は峠の直前で突如息を吹き返す。国道より先細りする一方の完全に息絶えたかに見えた路は、サミットの前後が豪快に切り拓かれ、四輪の相互通行を実現している。峠付近のみまるで別路線のような高規格で。

従来の峠を広角に掘り割る事で勾配を緩め、今では車両のスムーズな通行を許す海老牛峠。だが一昔前の人々はこの坂を喘ぎ喘ぎ登り、また悲鳴をあげるエンジンを騙し騙しで上り詰める車の姿が、日常的に見られた事は想像に難くない。峠の一部が緑地帯へと変更され状況は一変しているが、急勾配の狭路であった時分の残骸が現場には生々しく残る。

海老牛峠2-7

◆海老牛峠2−7:判断に迷うオーソドックスな分岐

峠からは支線が枝分かれし、視線の先には公園らしき広場がある。恐らく峠の拡張と共に再整備されたものであろう。まさか断崖路を伝い海老牛池へピクニックで訪れる家族がいるとか?いやいや、それは有り得ない。進入者を委縮させるような看板と、その内容に違わぬ断崖の狭路に、行楽も何もあったもんじゃない。ならば一体誰が利用するのか?更にはあのセダンはどこからやってきたのか?全ての謎を解き明かすヒントは、この分岐点にあった。

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