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www.henari1.jp ORRの道路調査報告書 ODA ROAD RESEARCH

〜ツーリングマップルで訪ねる万の峠と億の道〜

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トップ>旧道データバンク>甲信越>山梨>右左口峠/県道113号甲府精進湖線(うばぐちとうげ)の実走調査レポート

右左口峠(2

★★★★★

右左口峠2-1

◆右左口峠2−1:県道の峠道は未舗装のまま現存

新道との接点を過ぎてからの路面は、亀裂の生じたアスファルトが延々と続き、長らくメンテナンスが成されていない事を物語っている。傷んだ路の両脇には小さな果樹園があり、どうやら定期的に人が入ってきているようだ。新旧道の接点から至近距離にあるため、ゲートが閉じている場合は徒歩にて進入するか、専用の鍵を持っているのかも知れない。

果樹園を過ぎ少々経った頃に路面はアスファルトから砂利敷きへと変わる。砂利道の第一印象は一般的な未舗装林道と遜色ない在り来たりな道で、古道臭は一切感じられない。

右左口峠2-2

◆右左口峠2−2:県道の証となるポールが一定毎に立つ

それもそのはずこの道は中道往還を拡幅したものではなく、自動車道として新規で開削した新設路線で、自動車を通す事を前提とした路は、非常に緩やかな勾配で峠へと上り詰める。

この路は現国道に対する旧道というポジションではあるものの、中道往還をなぞった路線ではないためその歴史は浅く、目立った道路遺構は今日我々が目にするものと何等変わらない。路肩に打ち立てられたポールが僅かにグレードの高い路線である事を申し訳なさ程度主張するが、パっと見は一般的な未舗装林道と何等変わらない。

右左口峠2-3

◆右左口峠2−3:砂利敷きのヘアピンカーブ

道中は展望に恵まれるものの、新設林道といっても差し支えない路線であるため面白味には欠けるが、起点とした区間が中道往還と重なり、街道の雰囲気を堪能する事ができる。道路脇には蔵がずらりと建ち並び、宿場町の面影を色濃く残す情緒ある雰囲気を漂わせているのが、現道との分岐から再び新旧道が交わる交点までの、長い直線の坂道である。そこを右左口宿という。

中道往還右左口宿

中道往還を語る上で右左口宿(うばぐちしゅく)は外せない。

右左口峠2-4

◆右左口峠2−4:甲府盆地を望む

中道往還とは甲斐と駿河を結ぶ古代の道で、山梨県の甲府と静岡県の吉原を二十里で結ぶ最短路線の事を指す。甲斐と駿河を結ぶ古道は他に河内路と若彦路の二路線があるが、右左口峠はその中間を貫く事から中道往還と呼ばれた。

古くは軍用道としての性格が色濃かったが、江戸期には人畜による魚介類や塩の輸送路として利用が盛んとなり、後年は塩の道と呼ばれるように庶民に身近な道路へと変化した。中道往還の宿場町である右左口宿は、織田信長が往来するためとして、徳川家康が整備したと伝えられる。

右左口峠2-5

◆右左口峠2−5:視界前方にV字を捉える

4.5mで統一された路の両脇を屋敷が固める宿場独特長い直線は、かつて石畳か土道であったはずで、アスファルトに上書きされてしまった点は実に惜しまれるが、少しでも当時の様子が伝わればと、あらゆる角度からの撮影を試みた。

するとあまり関りたくない人物がこっちに近付いてくるではないか。カブに乗ったお巡りさんだ。朝一番を職質で迎えるとは全くツイてない。僕はなるべく手短に終わるよう遠方から来た旅目的のツーリングライダーを装い、熱心に宿場町の撮影に没頭する好青年を演出した。だがしかし、そこは熟練の警察官だ。鋭い眼光は僕の一挙手一投足を捉えて離さなかった。

右左口峠2-6

◆右左口峠2−6:離合ポイント

怪しい、何だこの三重箱は?

僕の勝手な憶測ではあるが、十中八九お巡りさんは箱の中身が気になって仕方なかったに違いない。

どこ行くの?

お決まりの文句で探りを入れてくるお巡りさん。

これから峠を越えようかと思って

その一言で事態は急変する。いや、これが悪い方にではなくて、恐ろしいほど良い方に傾いたのだ。お巡りさんは堰を切ったかのように中道往還のあれこれについて語り始めた。

右左口峠2-7

◆右左口峠2−7:右左口峠

それはそれは延々と、際限なく次から次へと出るわ出るわ、武田信玄に始まり、徳川家康、自衛隊の開削に開通当時自動車で峠を越えた話などなど。こっちは聞いてもいないのに、流るるように溢るるように語るお巡りさんの口は止まる事を知らない。僕はどこでストップ!と言おうか、そのタイミングを見計っていた。そのままだとお巡りさんの話で夕暮れを迎えてしまう勢いであり、それまで完全に聞き役に回っていた僕だが、これ以上付き合ってらんね〜と重い口を開いた。

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