ORRの道路調査報告書:全国の廃道隧道酷道旧道林道を個人が実走調査したレビュー

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小阪峠(旧国道42号線/熊野街道)(1)

★★★

 

小阪峠(旧国道42号線/熊野街道)

つい最近まで僕の中で、それは単なる未開通県道のしょーもない峠として認識されていた。だが実はその裏に恐るべき真実が隠されている事など知る由もなく、この峠の手の平で踊らされる無邪気な僕がいた。普段は大人しい顔をしている小阪峠、その遍歴を一度紐解けば実に大胆な姿があらわとなり、まるで本当の姿などおくびにも出さない小悪魔のような小阪峠は、僕を大いに翻弄させた。時の流れに身を任せ、変幻自在に姿形を変える妖艶な小阪峠は、日を追う毎に僕を虜にし、気が付けば僕は小阪尚輝と改名していた。たわわに実った〜早紀ちゃんの胸に〜小阪尚輝が〜嵌った〜(ウルルン風)カットカットカット!それじゃぁプルルン滞在記でしょーが。テイク2:たわわに実った〜早紀ちゃんの胸に〜保坂尚カットカットカット!それじゃぁノンフィクションでしょーが。テイク3:小阪峠で〜バスも走った名道に〜小阪尚輝が〜出会った〜♪

 

小阪峠1

ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

この何気ないT字路が、実はとてつもなく重要な意味を持つ分岐点である事など露知らず、初めて評議小阪の両峠を駆け抜けた僕は、抜けきれた事ただそれだけで満足であった。評議峠は工事中の未舗装林道、そこにぶつかるは舗装済みの滝向林道、ここより先は分断された県道156の続き、その程度のお粗末な認識であった。だがORRは一皮剥けた。

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ヘナリワンは単なる足に変わりはないが、それに騎乗する僕は考える葦へと進化した。今の僕はここにかつて何があり、どのような歴史を辿ったのかをある程度把握し、これまでとは一味違った視点で物事を捉えている。僕が知っている事の全てをここに出し尽くすべく、早速小阪夜話へと参ろうか。

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映画UDON2では絶対に外す事の出来ない準主役級であるボンバスが、エンスト寸前で評議峠へと駆け込めば、それより先は断崖の狭路とは言え、比較的高低差の少ない緩い道程に、時折不意を突いて現れるトラックなどの対向車に意識を集中し、バスは小走りで駆ける。木々の隙間からは遠くまで波状を描いて連なる稜線に、海に近い立地である事を忘れさせるほどの山深さを感じつつも、眼下に根付く大馬集落と煮炊きより立ち上がる生活臭を存分に含んだ煙とが、次なる停留所の接近を予感させる。

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「間もなく大馬口、お降りの方はいらっしゃいますか?」現代のバスと違い、乗降ブザーなどは無い時代である。乗客はウルトラハットを被る事を義務付けられ、それはバスに乗れたというステータスシンボルでもあった。乗務員さんが乗客に向かって直接呼び掛けると、降車する人はバネ仕掛けの帽子より?マークを自ら跳ね上げる。

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それを確認した乗務員が手前のレバーを引くと運転手にタライが落ち、それをもって停車するという往年のドリフを彷彿とさせる、非常に高度な伝達システムによって乗降は成立していた。断崖の緩やかなアップダウンに駒を進めれば、やがて樹海の隙間に評議峠以来のオアシスを前方に捉える。それが大馬口の停留所が立っていた現在のT字路だ。一見何も無いT字路であるが、実はトンデモナイものが眠っていた。

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路肩に残る石垣と、すっかり植林されて久しい更地。それがかつて人が住居を構えた跡である事を理解するのに、それほど時間は掛からなかった。道路を挟んだ向かいの壁面には、人為的に掘られた水瓶のようなものがある。岩の亀裂からは水が染み出し、それは涸れていないばかりか、今でも充分な水量を蓄えていた。ここに集積した山水を原資とし、主が生活全般に応用し、暮らしを営んでいたのは間違いない。

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ドライブ&ツーリングのネタ帳ORR

現時点ではそれが茶屋なのかどうかは分からない。ただ大馬口のバス停前には少なくとも一軒の人家が存在したのは紛れもない事実で、もし背後に大馬の集落が控えてなくとも、ここにバス停が置かれた可能性は、評議峠と小阪峠の中間に位置する条件等からも、充分に有り得たと考えられるのだ。

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