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金花湯死闘篇(5

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金花湯5-1

◆金花湯5−1:作業場跡らしき膨らみ

尾根筋から右折し急降下した路の先で、我々の視界に映ったのは、近年新たに森林を伐採した跡で、明らかに車両が頻繁に往来していた形跡が見られた。まだ谷底までは到達していないようだが、離合箇所や駐車スペースが整備確保され、いよいよこの先に目的の物件が近いという好感触を得た。進めば進む程路面状況は良化の一途を辿り、幅員の広さも手伝い期待感は膨らむ一方だ。

金花湯5-2

◆金花湯5−2:新設のショートカット

見てくれ、この純白の路面を。この白い砂利は明らかに他所から持ち込んだもので、大きく回り込む旧道をショートカットするように、純白の砂利を敷き詰めて新道を築き上げている。しかもその幅員は重機でも楽々通れる程で、人気の無い山奥で目にする人工物は大いなる安心感を我々に与えた。

今は動きが止まっているようだが、ここで大規模な工事をしていた訳だから、その音を嫌ってヒグマも敬遠するのではないか。そう思う事で僕等は自身を落ち着かせようとしていた。

金花湯5-3

◆金花湯5−3:四差路

白い砂利敷きのショートカットより、道は再び上りへと転じる。そしてそれ以降二度と下る事はなかった。てっきり谷へ向け直滑降するのか思いきや、どうやら山襞の中腹あたりを僕等は横這いに進んでいるらしい。そしてまたまた目の前に三叉路が現われてしまった。

これには参った。ヘナリワンが向いている方向が直進なのだが、そこは掘削中の急傾斜で道は途切れている。また左に折れる道は、明らかに行き止まりの作業道の様相を呈す。

金花湯5-4

◆金花湯5−4:左折×、直進×、右折△

左折の路は、タイヤが半分以上埋まってしまうような極悪な溝が待ち構え、最早道としての機能を完全に失っている。となると残るは右に折れる路であるが、御覧の通りのっけから藪道で、誰がどう見ても本線には見えない。ただ消去法により右折の藪道しか前進する手段は無い訳で、どう見ても完全なる廃道なのだが、ここまで来た以上行ける所まで行ってみるしかない。

金花湯5-5

◆金花湯5−5:尾根上の四差路で仕切り直し

まずはヘナリワンが強引に割って入り、その後をカモイワンが追い掛ける形で右手の廃道を半ば強引に突き進んだ。だがその先は延々と廃作業道が続くのみで、最終的にヘナリワンをもってしも前進が困難となり、それ以上の前進を断念せざるを得なかった。

無駄な時間、労力、ガスと、ここで消耗したエネルギーの総量は計り知れない。我々は再びあの中継基地にいた。そして途方に暮れる。

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