ドライブ&ツーリングのネタ帳

www.henari1.jp ORRの道路調査報告書 ODA ROAD RESEARCH

〜道路格闘家へなりと闘う鉄馬ヘナリワンの軌跡〜

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トップ>隧道電撃ネットワーク>北東北>青森>第2号洞門の実走調査レポート

第2号洞門(国道339号線龍飛崎)

★★

第2号洞門1byORR

◆三厩側から望む岩塊を貫通する二つの穴

地図を御覧頂ければ一目瞭然なのだが、津軽半島を周回する二つの国道(国道280号線、国道339号線)には、ほとんどと言っていいほどトンネルが見当たらない。

青森市を起点とし、終点の函館へと海を渡る海上国道280号線の通過点にして、国道339号線の起点を兼ねる小さな漁港三厩。そこが隧道物語のスタート地点になる。

平成10年に東日本フェリーが、三厩と津軽海峡を挟んだ北海道の福島町をワンシーズンのみ連絡し、津軽半島に 国道フェリー を就航させたものの、業績が振るわず休航となり、今は何事も無かったかのようにひっそりと静まり返っている。

第2号洞門2byORR

◆坑門すれすれに民家が建つ

本州最果ての駅として、コアな鉄道ファンにも御馴染のJR三厩駅のある小さな港町を発つと、龍飛方面へ向けしばらくは国道280号線を走る事になる。

はっきりとした分岐点等が無く、意識していなければまず気付かない平凡な直線の交点で、自動的に国道番号が280号から339号へと切り替わる海岸道路。

その沿道にはいくつもの小さな漁港と鄙びた漁村が断続的に続き、猫の額ほどの狭い土地を分け合い人家が根を張っている。そんな小規模漁港の一角に小さな洞門を捉えた。

第2号洞門3byORR

◆幾度かの改修を経た三厩側の坑門

洞内に歩道も完備する割りと高規格の鐇泊トンネル。そいつを目の当たりにすると同時に、拡幅改修か新造かを瞬時に見極める訳だが、海上に突き出る岩塊にピストルで撃ち抜かれたような小さな穴を捉え、僕は急ブレーキをかけた。

九分九厘この洞門が旧鐇泊トンネルで間違いないのだが、全く別の用途で建造された国道とは無関係の隧道の可能性も有り得る。それにせっかく現地の初老が洞内にいるのだから、ここは話を窺わねば損というものだ。

僕は通りがかりのツーリングライダーを装い、それとなくこの洞門について尋ねてみた。

第2号洞門4byORR

◆銘板

おぅ、今では資材置き場になってるけどな、以前はトラックにバス、大型の観光バスもみーんなここを潜っとった

確定だ。この小さな洞門が以前まで使われていた海岸道路のトンネル、つまり国道339号線の旧隧道である事が、初老の証言により明らかとなった。

実際に漁師を営んでいるという初老に加え、漁師仲間のおいちゃんも加わり、僕の問い掛けを機にしばしの間昔話に花が咲く。

第2号洞門5byORR

◆所狭しと道具が置かれた洞内

その昔は洞内も砂利敷きだった事、大型車一台の通過がやっとの洞門入口付近に対向車待ちの車が列を成した事、初期の内壁は全て岩盤剥き出しであった事、後年三厩側のみ凹凸無しの滑らかな肉厚の内巻きとした事、その後内巻きを更にライナーで補強した事等々、手短ではあったが坦々と往年の様子を語って頂き、とても有意義な一時を過ごす事ができた。

第5号洞門第11号洞門と異なり、内壁にライナーを巻かれ幾度かの改修を経た第2号洞門であるが、竣工当時の面影はよく留めているという。特に龍飛側にみる巨大生物の胃袋を連想させるグロテスクな壁面は洞門一族の証左だ。

第2号洞門6byORR

◆改修前の形状を保つ龍飛側坑門

それは龍飛側の坑門を拝めば尚更で、先に見た洞門群と何等遜色ない歪な形状がまさに当界隈における国道隧道のそれであり、逆に三厩側の正常な円形が異常とも思えてくるから不思議だ。

洞内の両脇にはびっしりと漁師の商売道具が置かれ、今ではすっかり漁業関係者の物置小屋と化し、軽自動車一台の通過がやっとの狭路となっているが、かつては猫も杓子もここを潜らねばならなかった。ただかつてとは言っても、それほど昔に遡る訳ではない。鐇泊トンネルの開通が2001年の春であるから、ついこの前まで第2号洞門は現役であった訳だ。

第2号洞門7byORR

◆龍飛側の第2号と鐇泊の親子トンネル

龍飛側を見る限り、大型車が避けるような十分なスペースが無く、且つ入口付近が屈曲し対向の様子が窺い知れない線形である事から、離合の際は相当難儀したであろうドライバーの苦悩が容易に察せられる。

新トンネルの開通により、車両同士の相互通行の実現は勿論、歩行者の身の安全も確保され、また旧隧道が二次利用され活かされている事から、この親子隧道は一種の理想形を成していると言っても過言ではない。

かつての深刻なボトルネックも、今は地元漁師の倉庫として、第二の人生を歩んでいる。

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 第2号洞門のプロローグ

 第2号洞門の旧版報告書

 

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